1. AIを活用した税務調査(次世代KSK2システム)とは?
1-1. 国税庁が2026年9月までに進める「スマート税務行政」の全貌
国税庁はデジタルの利点を最大限に生かした抜本的な業務改革(BPR)を進めており、これまでの書面中心の事務処理からデータ中心の事務処理へと舵を切っています。独自の大型コンピュータ(メインフレーム)からオープンなシステムへと刷新し、税目別・事務系統別に分かれていたデータベースやアプリケーションを統合する「次世代システム」への移行を完了させる計画です。
この改革は、単に行政の手続きを便利にするためだけではなく、課税・徴収事務を高度化させ、組織としてのパフォーマンスを最大化することを目的としています。
スマート税務行政への移行による主な変化は以下の通りです。
| 区分 | 現状の事務処理 | 次世代システム |
|---|---|---|
| 対応方法 | 出力帳票などの書面をもとに事務処理や決裁を実施 | システム上で直接事務処理や電子決裁を実施 |
| 分析手法 | OAソフトで各種分析を実施 | システム内で高度なデータ分析を実施 |
国税庁は「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」を目指す一方で、確保できた事務リソースを税務調査やデータ活用といった外部事務の充実・高度化へ投入する体制を整えています。
1-2. AIや機械学習は具体的に何を分析しているのか?
国税庁の次世代システムに構築された「統合データベース」には、納税者の申告・決算情報や資料情報だけでなく、インターネット上の外部データなど多様な情報が取り込まれます。これらのデータを、BA(ビジネスアナリティクス)ツールやプログラミング言語を用いた統計分析・機械学習などの手法によって分析しています。
具体的には、以下のような仕組みで自動的な予測や判定が行われています。
【AI・データ分析の具体的な活用内容】
- 申告漏れリスクの判定:過去の調査事績の傾向や申告・決算情報から、申告漏れの可能性が高い納税者をシステムが自動で判定
- 滞納者へのアプローチ予測:滞納者の規模、業種、過去の接触事績などを基に、電話催告や臨場催告など「最も接触できる可能性の高い方法」を提示
- 曜日や時間帯の応答予測:過去の架電履歴などを分析し、曜日や時間帯ごとの応答予測モデルを構築した「AIコールリスト」を作成して架電効率を向上
このように、人間の経験則だけに頼るのではなく、AIがデータから法則性を発見して将来の予測を行うことで、重点的に調査すべき対象をピンポイントで割り出す仕組みが稼働しています。
2.AI税務調査で税務署が着目するポイント
2-1. 神奈川の税務署における「内部事務のセンター化」の影響
横浜中税務署や横浜南税務署をはじめとする神奈川県内、および全国の税務署では、申告書の入力・審査や還付金の処理といった事務を「業務センター」へ集約する「内部事務のセンター化」が進められています。これにより、各税務署の現場にいる調査官の役割が大きく変わりました。
【内部事務のセンター化による変化】
- センター化前:各税務署の職員が、税務調査などの「外部事務」と、申告書入力や審査などの「内部事務」の両方に対応
- センター化後:簡単な誤りの正誤やデータ入力などの「内部事務」を業務センターが包括的に集約処理
このセンター化によって効率化された結果、税務署の現場リソースは「税務調査」や「滞納整理」といった外部事務の充実・高度化へ一気にシフトしています。つまり、これまではマンパワーの不足で見過ごされていたかもしれないグレーな申告や、AIがリスクを検出した企業に対して、人間の調査官がしっかりと時間をかけて実地調査に赴く体制が強化されているのです。データに不整合がある企業ほど、効率化された税務署のマンパワーのターゲットになりやすいと言えます。
3. AI税務調査に負けない!「会社にお金を残す」ための3つの自衛策
最先端のデータ分析を行うAI税務調査に対抗し、創業期の大切な資金をしっかりと守るためには、経営者自身が正しい自衛策を講じる必要があります。
システムによる自動選定の網に引っかからないための具体的な手順は以下の3点です。
3-1. 自社の申告データを正しく電子化し、異常値を事前に把握する
仕入高や人件費の急激な変動、同業種平均から大きくかけ離れた経費の計上は、AIのスクリーニング機能によって瞬時にリスク判定を受けます。
日頃から電子帳簿保存制度に対応した会計ソフトを活用し、自社のデータと業務の実体に不自然な乖離がないか事前にチェックし、数字の単純誤り、
二重計上などを防ぐ体制を整えてください。
3-2. 外部データや口座情報との整合性を常に意識する
国税当局は、金融機関に対する預貯金等のオンライン照会を拡大しているほか、外国税務当局とも共通報告基準(CRS)に基づき大量の口座情報を一括して自動交換しています。銀行口座の動きや、インターネット・SNS上の活動ビジネスの情報はすべて当局の統合データベースで照合可能であると考え、申告データとの間に一切の矛盾が生じないように処理することが不可欠です。
3-3. システム刷新のトレンドを理解した専門家と連携する
紙ベースからデータ中心の事務処理へと移行した現代の税務行政において、従来の古い税務知識だけではAI選定のアルゴリズムに対応できません。
IT導入やデジタルを活用した業務プロセスに明るく、当局のシステム刷新の方向性をしっかりと理解している税理士などの専門家をパートナーに選ぶことが、結果として会社に無駄な税金を払わずにお金を残す最大の防衛策となります。
4. 横浜で創業・経営を成功させるなら!自社にお金を残す伴走支援
最先端の税務DXが導入されるなかで、創業期を乗り切り、手元に資金を残すためには総合的なサポート体制が必要です。
当事務所は、単なる会社設立の手続き代行にとどまらず、税務調査対策から日々の経営課題まで幅広くカバーし、地域で培った信頼をもとに創業者へ寄り添う安心の伴走支援を提供します。
さらに「会社にお金を残す」ことを経営理念に掲げ、融資や節税の積極的な提案を行っています。金融機関6行以上との強い連携体制を活かして融資の実行率を高め、初年度から無理なく活用できる適切な節税提案を実施。創業期の最大の壁である「資金繰り」を徹底的にバックアップします。
税務・融資・将来の資産形成までワンストップで対応できる専門チーム体制を確立しています。これからのデジタル税務時代においても、経営に確かな安心感をもたらす総合的なサポートをお約束します。
5. AI税務調査に関するよくある質問(FAQ)
5-1. Q1. AI税務調査が導入されると、すべての企業に調査が入るのですか?
いいえ、AIの活用が進んだからといって、すべての企業が税務調査の対象になるわけではありません。
国税庁は、税務行政のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進しており、AIやデータ分析を活用することで、課税・徴収事務の効率化・高度化を図っています。
その目的の一つとして、限られた人員や時間を「特に必要性の高い分野や悪質な事案等」に重点的に配分する方針を示しています。
実際に、国税庁が公表した「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」では、選定にAIを活用するなど、効率的かつ的確に調査等を行った結果、所得税の追徴税額は1,431億円となり、前事務年度の1,398億円を上回って過去最高となりました。
また、所得税の実地調査による1件当たりの追徴税額は241万円となり、前事務年度の224万円から増加しています。
一方で、所得税の実地調査件数は約4万7千件で、前事務年度の約4万8千件から減少しています。こうした結果からも、AIの活用は「すべての納税者を一律に調査する」ためではなく、膨大な申告・取引情報などを分析し、調査の必要性が高い対象をより効率的・的確に把握するために活用されていると考えるのが適切です。
出典:国税庁「令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況」
5-2. Q2. 個人事業主やフリーランスのSNS(InstagramやX)もAIにチェックされますか?
SNSの投稿がすべてAIによって常時監視されている、というわけではありません。
国税庁の次世代システム(統合データベース)の設計イメージには、税務署内のデータだけでなく「外部データ・インターネット」からの情報取込みがはっきりと組み込まれています。ビジネスの売上規模や活動実態がSNS上で活発に発信されているにもかかわらず、確定申告の内容がそれと大きく矛盾している場合、AIのスクリーニング分析において不整合として検出されやすくなります。
5-3. Q3. 横浜市内で税務調査の相談をしたい場合、どこに連絡すれば良いですか?
横浜地域に深く根ざして25年の実績を持つ当事務所へお気軽にご連絡ください。当事務所では、税理士4名とFP3名をはじめとする総勢40名の専門家チームが、次世代KSKシステムなどの国税行政の最新トレンドを踏まえた上で、皆さまの税務・経営を親身にサポートいたします。